2016年8月に応募した「SABED 環境シミュレーション設計賞2016」の審査結果をお知らせします。

SABED環境シミュレーション設計賞は,本年度から新たに始めた環境建築設計の提案コンペであるが,初年度であるにもかかわらず14作品の応募を得た。すべての作品には通常の設計コンペとは異なり,環境シミュレーションによる検討結果が提示されており,建築設計に環境シミュレーションを応用することに学生の皆さんが積極的にトライされたことは大変心強く感じた。
その一方で,シミュレーション検討の前提となる境界条件や,シミュレーション結果に基づく設計の決定プロセスなどが的確に表現されていないものが多く,十分我々の意図が伝わっていないことも明らかとなった。環境建築設計とはいっても,意匠設計者の感覚で設計されることも多く,SABEDでは環境シミュレーションツールを効果的に活用することで,物理現象の裏付けのある建築,環境シミュレーション結果に基づく合理的な建築設計の実現を目指している。
設計パネル,説明パネルにはどのような前提条件のもとに環境シミュレーションが実施され,その結果がどのように設計に反映されていったか,その設計プロセスが提示されることを期待していたが,その期待に十分応える作品は見当たらなかった。
以上のことから,今回の応募作品の中から最優秀賞を選定することは困難と判断したが,上記に近い情報が盛り込まれ,また建築作品としても魅力のある三作品を優秀作として選定し,さらにこれに準ずる四作品に奨励賞を与えることに決定した。
学生諸君は,環境シミュレーションが導く新たな建築設計のあり方,建築のすがたを今後とも追求していっていただきたい。

審査委員長・SABED代表理事 倉渕隆

<優秀賞>

中川 涼(東北大学大学院工学研究科都市建築学専攻修士2年)
作品タイトル: やわらかに紡ぐ家

熊谷雄(東京大学大学院修士2年)
作品タイトル: 風を運ぶ家-境界を越えて風を共有するためのシェアハウス-

北村武士(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻今井研究室修士2年)
作品タイトル: Balcony House -3つの環境のヴォイドを介したバルコニーに住まう-

<奨励賞>

山本遼子(東京大学工学部建築学科学部4年)
作品タイトル: 海と風と

堀内耀介(東京大学大学院修士1年)
作品タイトル: 光の階段

篠原裕貴(東北大学大学院工学研究科都市建築学専攻修士1年)
作品タイトル: SPORTSCAPE〜都市型スポーツの再考〜

新冨凌汰(東京大学前研究室修士1年)
作品タイトル: 移ろいを纏う

※各作品についてのコメントは、以下よりダウンロードしてご覧いただけます。